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「バリアフリー」は和製英語 [技術英語・訳しにくい日本語]

(技術英語ではなく一般英語なのですが、「日常会話」とも違うような気がして、「訳しにくい日本語」カテゴリーに入れました。)

ネイティブが作成したと思われる文書の中に、
"accessible station"と書いてあり、その後に、「車椅子の人が利用できる駅」という定義が書いてありました。

「バリアフリー」を英辞郎で検索したら、"barrier-free"と書いてありました。が、ネイティブに聞いたら、和製英語だと分かりました。
そのネイティブは、自分なら、"accessible station"ではなく、"handicap-accessible station"と言う、と言いました。
が、handicapは差別用語だと言う人もいるはずだと思い、ネットで調べました。

handicap-accessible station 35件
handicap-accessible restaurant 1630件
wheelchair accessible station 2510件
wheelchair accessible restaurant  22200件
station for disabled people 2200件
station for handicapped people 2件
station for people with disability 1件
station for wheelchair users 906件
"station for differently * people" 0件

ということから、"wheelchair accessible"が一番多用されていることが分かりました。また、表現としても優しい感じなので、私はこの表現を使おうと思いました。


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オテナの塔

わたしもネイティブにbarrier freeは和製英語であると言われたことがあります。しかしその後、英字週刊誌で使っていることを発見して、あれれ?と思いました。それで和製英語ではない、と考えて来ました。この機会にみなさんに代わって、ネットで再確認をしてみました!
" Barrier free design” の検索結果 約 56,200件
" Barrier free access” の検索結果 約 121,000 件
barrier freeは物理的障害物だけでなく、誰でも参加できる状態も意味するようですが、それを除外して、日本語Wikipediaによるとbarrier freeは英米では(まだ?)「認知度の低い」言葉となっていますが、ネットでは膨大な例が出ています。それもカナダ、アメリカ、イギリスなど英語圏でも結構使われています。建築用語としては多く使われるようで、長寿化と少子化で高齢化社会が世界でも突出して進んでいる日本では「バリアフリー」として一般の認知度が高くなったのだと思われます。「バリアフリー」の用語使用に関して日本は先進国かな? 英語圏では、公共施設、学校案内の説明にも出てます。(なぜかカナダのサイトが多めの印象)
カナダのオンタリオ州の公式記事:http://www.orc.on.ca/AssetFactory.aspx?did=168
また、戦争で帰還した兵士が胸部は防弾服で守られたが手や足を失い車椅子生活を余儀なくされた時期からbarrier freeの概念が確立したとの話もあります。
Barrier-Free Design: A Manual for Building Designers and Managers
という題名の本も。
例文の1:http://www.housing.gov.bc.ca/housing/access/bibliography/glossary.html
例文の2:http://www.adaptiveenvironments.org/index.php?option=Resource&articleid=156#

まとめとして、技術文としては堂々とbarrier freeを、一般向けとしてはaccessibleを適用すると無難かな?と思います。ネイティブにはbarrier freeの意味は一目瞭然と思います。
by オテナの塔 (2008-02-15 21:44) 

たんご屋

最近では Web ページのアクセスビリティも認識されつつありますね。駅のアクセスビリティでも、本当は、車椅子のひとだけではなく、視覚障碍者、聴覚障碍者、知的障碍者など、さまざまなのひとを考慮される必要があるでしょうね。
以前、障碍者用トイレ(東京では「だれでもトイレ」)の地図を作る運動にちょっとかかわっていたことがあります。もちろん車椅子のひとは広いトイレが望ましいわけですが、視覚障碍者では同じ位置に同じボタンがあるというような標準化が重要で、広いトイレは怖いし使いにくいそうです。当然、また、オストメイト(人工膀胱、人工肛門などをつけているひと)の中は、だれでも利用できる「ユニバーサルデザイン」のトイレは不衛生になるので、障碍者専用トイレが必要だというひともいます。真にユニバーサルなデザインを実現することは、非常にむずかしいことだと思います。
英語と関係のない話でごめんなさい。いちおうご参考まで。
by たんご屋 (2008-02-16 20:41) 

オテナの塔

たんご様: いいえ、英語と大いに関係ある話です。どこかのホームページでBarrier free designはold termと出ていてびっくりしました。英語圏で認知度が低いのに、もう?と思います。Universal designは英語としては、より適切でしょうが日本人には更に意味が分からなくなります。「バリヤー」はアニメマンガなどで宇宙空間での戦いで「防御バリヤー」として子供のころから耳にしていて意味が分かるでしょう。しかし年配者は新たなカタカナ語として覚えるしかありません。 しかし定着する言葉になりそうです。高齢化社会を日本がどう克服していくか世界が見守っているでしょう。
by オテナの塔 (2008-02-17 01:33) 

たんご屋

少し補足しますと、バリアフリーとユニバーサルデザインは同じではありません。バリアフリーは現在存在する障壁を取り除くこと(階段に手すりをつけるなど)、ユニバーサルデザインは最初から汎用的に使えるように設計すること(右利きでも左利きでも使えるハサミなど)です。国立国語研究所では、バリアフリーを「障壁除去」、ユニバーサルデザインを「万人向け設計」などと言い換えることを提案しています。
barrier free と universal design はどちらも正しい英語だと思いますが、オテナの塔さんのおっしゃるとおり、専門用語に近いので知らない英語ネイティブもいるということだと思います。
たとえば、以前、Web accessibility の話をある英語ネイティブにしたら、そのひとは何のことか知っていませんでした。また、この語句を「Web アクセシビリティ」といえば日本語になりますし、実際にけっこう使われています(Google で約 127,000 件)が、このことばを知らない日本語ネイティブもまだまだ多いでしょう。かといって、言い換えることはむずかしいので「Web アクセシビリティ」という語を使わざるを得ません。
by たんご屋 (2008-02-17 13:33) 

oceanbridge

オテナの塔様・たんご屋様ありがとうございます。お礼が遅くなりすみません。参考になります。barrier freeでwikiで調べるということを思いつかなかったので、何でも調べてみるのが鉄則だなぁと改めて思いました。バリアフリーとユニバーサルデザインの違いまで分かり、また少し賢くなりました。
by oceanbridge (2008-02-18 23:34) 

オテナの塔

あ!ご主人様お帰りなさいませ!
お留守中に二人で盛り上がってました!
by オテナの塔 (2008-02-19 00:36) 

丸太郎

oceanbridgeさん、オテナの塔さん、たんご屋さん、ありがとうございました。

ずぅっと以前にご挨拶させて頂いたことがあります。その後も更新されるたびに欠かさず読ませていただいています。いつもとても参考になります。

今回の『「バリアフリー」は和製英語』について、私も一読してオテナの塔さんと同じような感想を持ち、自分でも検索していました。

私の場合、例えば「barrier-free-facility|facilities site:gov」をgoogleで検索してみたりしたのですが、「バリアフリーは和製英語」という意見もたくさんヒットしますし、これらの検索結果を自分の頭のなかでどうまとめたらいいのかなあと、迷っていたところでした。

(ちなみに、検索時の「site:gov」は検索対象をgovに限定することで、信頼性の高い(?)政府筋の文書に絞ろうという狙いです。果たしてどのくらい有効な手段かよくわからないのですが、この「site:」演算子を、私はよく利用します。例えば「site:co.nz」でニュージーランド限定の情報を検索するとか…)

みなさんの議論を読ませて頂いて、かなり頭の中がすっきりしたような気がします。どうも有難うございました。
by 丸太郎 (2008-02-19 08:20) 

oceanbridge

丸太郎様、検索方法の情報もありがとうございます。更新のたびに見ていただいているとのことで、本当に嬉しいです。ありがとうございます。
オテナの塔様とたんご屋様のやりとりは、読ませてはいただいていたのですが、コメントする時間がなく、大変失礼しました。でも必ず拝見して、参考にさせていただいています。読者の方にとっても私にとっても役に立つ情報を投稿していただいていて、とても感謝しています。
by oceanbridge (2008-02-19 22:31) 

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