「一巻きする。」→"wrap * around * one time (またはonce)" [技術英語・訳しにくい日本語]
「ワイヤをコイルの周りに一巻きしてください。」の訳し方です。
「巻き」で調べたら、ビジネス技術実用英語大辞典には、"The coil is made from 3 turns of wire"(このコイルはワイヤを3巻きして作ってある)とありました。
また、「巻く」には、wrap ~ around ..." が使われていました。
ネットで
"wrap * around * turn"で調べたら、336件でした。
Wrap the rope around the main stem with a few turns.
Wrap Runnine End around for six turns.
wrap it around itself a few turns.
wrap fibers around hub (two turns).
Wrap an elastic bandage around it for several turns.
Wrap the band around the drum 4 turns.など。
wrapをwindに代えると、10件しかなくて、
Wind the string around the axle eight turns
wind the line around it a few turns
wind the rope around the flywheel several turns
が出ました。
ネイティブに絵を見せて聞いたら、"Wrap * around * one time."が良いと言われました。one timeの代わりにonceはどうか聞いたら、それもOKと言われました。
"wrap * around * once" は9,100件、"wrap * around * one time"は19,700 件でした。(ちなみにtwiceでは570件、two timesでは416件でした。)
用例をそれぞれ最初の40件見てみましたが、どちらも「一巻きする」という意味で使われていて、
イメージ検索でも出てきました。
以上から、「ワイヤをコイルの周りに一巻きしてください。」を、
"Wrap the wire around the coil one time (またはonce)"と訳しました。
すみません、いつもながら前後関係が見えない中、妄想でコメントします。
ワイヤをコイルの周りに一巻きしてください。=Wrap the wire around the coil one time.
字面上は確かにこの通りですが、どう「一巻き」すればいいのか、イメージが湧きません。
まず、コイル形状が円柱状なのか、円盤状なのか。どちらにせよ、「ワイヤーをどの方向に、どのように一巻きするのか」がまったく見えないのです。だからといって、「どのように」「どの方向に」をどう書いてみても、これは文字だけでは伝えきれない事象だと思います。
コイル形状とワイヤーの巻き方をイラスト等で示した上で、Wrap the wire around the coil one time as shown. とするのがいいのではないでしょうか。
何事も文字だけの表現には限界があります。技術的な内容ならばなおさらです。テクニカルライティングと言えども、文字だけに頼る必要は無いかと。そんな風に感じました。
繰り返しますが、前後関係も知らずにコメントしております。イラストか写真が添えられているのならば、全く問題ありません。
by Hirosuke (2007-04-17 02:13)
超ヘタな絵ですが、ネイティブに見せた絵を載せました。
本当に、図で示すのは、鉄則ですね。この場合も図は載せてはありました。ただ、それを英語で表現するとなると、なかなか難しかったです。
by oceanbridge (2007-04-20 20:01)
僕の絵はoceanbridge さんのより、さらにもっとずっとpoorですよ。(笑)
僕はトリセツ屋ですから、必ずイラストとセットで文を書いてます。まず自分でラフイラストを書かなくてはならないのですが、僕にとってはこれが苦痛で。英語の方がずっと楽です。
ある時、ウチの設計さんが僕の書いたトリセツ見ながら取付けしていて、こう言ったんです。「イラストだけでも取付けできるな。やっぱ、絵に語らせるのが一番だよ。」
それを横で聞いていた僕はすかさず、「その割には、本文にやたらと『指示文追加』の赤が入りますが?」。
設計さん、苦笑してました。
by Hirosuke (2007-04-21 08:32)
turn one time aroundはネイティブもOKとのことだったそうですが、コイル、ワイヤの場合、技術英語では前半に挙げておられるturnが多用されているという印象です。検索エンジンではhit数は重複して出てきますから、正確ではないですが、参考にはなります。
"wrap one turn" の検索結果 約 520 件、"wrap * turns" の検索結果 約 15,300 件、"wrap one turn around" の検索結果 約 91 件、"wrap * turns around" の検索結果 約 608,000 件。1巻きの場合は、当然使用例が少ないので、こんなものでしょう。(しかし、この使い方では目的語がwrapのつぎに来る例が少ないのが合点いきません。)
by オテナの塔 (2007-05-15 21:31)
オテナの塔様、お久しぶりです!turnが多用されている印象という情報、ありがとうございます。最近多忙で更新できなくなりつつありますが、がんばります。
"wrap around * turns"でも52件しかなくて、かなりが関連のない記事のようです。
by oceanbridge (2007-05-15 22:49)
はじめまして。企業内で10年程英訳をしているものです。「Xケーブルをフェライトに5回巻いて、フェライトをXケーブルに取り付けてください。」の「巻く」をwindとすることをどう思われるか、あるいはwindとwrapとの使い分けについてご意見がありましたら教えてください。
この文をWrap the X cable five times around the ferrite to ....と訳しましたら、この英訳の依頼者(英訳のプロではない)は、wrapは「包む」意味なのでwindに変えたとのことです。米国のオフィスの日本人トランスレータ(20年近く米国在住でネイティブスピーカと結婚している)が訳したらwindであったそうです…???。本題から外れますが、依頼者がwindなのであればそれで良いのでして、そのことよりも、いまだに、より長く英語圏に住んでいたりネイティブスピーカと接している方が適切な英訳をするという見方があること、言い換えれば、依頼者=上司が(その信頼していると思わせた方がよい部下よりも)そちらを信頼していることがショックでした。
さて、回数は、1回と2回はonceとtwiceを使いそれ以上は... times とすることをどこかで聞きかじったことがあります。実際はそうでもないのですね。
by グリュミオ (2008-10-10 21:26)
グリュミオ様コメントありがとうございます。古い記事なのにご覧いただきありがとうございます。
windとwrapの違いから考えると、このようなケースではwindが使われるるはず、のように思えます。
ちなみに英英辞典http://www.answers.com/windで見ると、
To wrap (something) around a center or another object once or repeatedly: wind string around a spool.
To wrap or encircle (an object) in a series of coils; entwine: wound her injured leg with a bandage; wound the waist of the gown with lace and ribbons.
と書かれていて、windの中にwrapの意味が含意されている(wrapの方が狭い)ことが分かります。
私の場合は、週一度会うネイティブか、職場のネイティブ級の同僚か、googleの件数に頼るしかありません。
ググると、"Wind * wire * times"で検索すると103件、"Wrap * wire * times"は111000件出てきたので、どう考えてもwrapの方がよく使われていると思います。
私も、once, twice, three times...と習いました。
この時はネイティブが言ったのでone timeも良いと思いましたが、once/twiceの方が普通だと思います。(one timeでも間違いではないとは思いますが)
私は海外経験が旅行以外は無くて、帰国子女や長期留学者にはかなわないので、悲しい思いをすることは多々あります。ただ、「より長く英語圏に住んでいたりネイティブスピーカと接している方が適切な英訳をする」かどうかは時と場合によると思います。まず、日本語を理解できなければ英語に訳しようがないですし、理系の文章に慣れていないと訳せないと思うのですが、いかがでしょうか。
by oceanbridge (2008-10-10 22:11)
早速にお答えいただき、ありがとうございます。windに意味が含意されていますね。この間に、実際にどのように使われているか調べているうちに、やはりwrapだと思っていたのですが、Answers.comによって一層そう思ってしまいました。
というのは... その前に、日本語「フェライト」に「巻いて」が曖昧なのです。フェライトはどれなのかもうわかっており取り付ける人が用意するのではないので具体的に、例えば、フェライトロッドともクランプとも言っていません。図で、ケーブルを重ならないように一重に端から揃えて巻けるように、噛むような形状をしている部分がある棒状に描かれています。この場合、ケーブルをフェライトに接触して「巻き付け」なけれが固定できません。クランプタイプではないので、フェライトと接触せずに「巻い」ては取れてしまうわけです。逆に言えば、図があるので「巻いて」でもわかるわけです。…「巻く」は直訳でwindなのでしょうが、何かの回りに「巻いて取り付ける」のであれば、wrap aroundではないでしょうか。
何かを何かの回りに巻く場合、wrapではない事象は(ぐるぐる巻くとか引っ掛けて巻くとか別のニュアンスがある場合を除き)もともと世の中にあまりなかったではないかと思い、wind * aroundよりwrap * aroundが多いはずなどと納得してしまったのですが。
by グリュミオ (2008-10-14 02:12)
グリュミオ様ありがとうございます。wrapが多くてwindが少なかった理由が分かりました。言葉だけを見るとwindでも良さそうですが、実際の作業を考えると、wrapですね。
by oceanbridge (2008-10-15 21:54)